あーさぎり!

楽園!!
と叫ぶ。あーすっきりした。とにかく一日目は晴れてたし富士山とかもすごくあれで、うひゃーて踊ってすぴーて寝てぎゃははと笑って、音楽はやっぱりつまみみたくなっちゃったけど、ozomatliとかsoulive、pnuma trioあたりはほんとあれで、でもやっぱり音楽はツマミだから一日目の夜なんか鍋をみんなでわいわい囲んで、ミカちゃんとかタマムラとかと楽園!!と叫んでいたら、タマムラだか誰だかの携帯になにものやらか電話かかってきて、いやあこんなに楽しいのにうるさいなあといった感じでタマムラが出る。そしたらどうやら東京にいる人で、ふだんパーティーとか叫んでるのに朝霧行かなくて後悔してて、欲求不満で仕方がないから東京の彼はクラブに踊りに行ったらしいのだけど、「女の子しかいない!誰も踊ってない!」と号泣していて、タマムラは叱責する。あとで電話誰からだったのーと聞いてみると、

聞いてみると、、、

それは僕だ!!そうだ僕は朝霧なんかには行っていない。がびーん。というか土曜の夜なのにねえ、ということでミスドでひたすら朝霧いいなあと友だちと愚痴っていて怨念とタバコの煙で最悪の空気がミスドには立ちこめていた。カフェオレは10杯は飲んだし煙草はおそらく一箱空いたし計算してみたら5時間だかミスドにいて、僕が発した言葉の語尾には必ずと言っていいほど「アサギリ」とついていたようだ。あとで友だちに聞いた話によると。
とりあえずだからこのまま家帰ったら最悪だよとかいう雰囲気で、下北に移動してCITY COUNTRY CITYでパスタでも食べようよということになって、三連休メニューとかでパスタなくて、きっとスウィートベイビートモが今日はライブだか朝霧に行っているんだかしらないけどいないからパスタないんだろうね、とか話ながら焼きうどんとピザ食べてると、「ういーす」とかいいながら誰かやってくる。あ、どこかで見た顔と思って目をこらしてもう一度見てみると、曽我部恵一!だ。わわわ、そかべさんとテンション上がりっぱで、その距離僕と1メートルとかあたりで買ってきたレコードとかチェックしてる。というかそかべさんあなた土曜の夜なのにこんなところで、というか朝霧は行かないの、とか言おうと思ったけどシャイボーイがるぼるなので店を出た。そかべさんの暖かな声で「ありがとうございましたー」と。イェイ。
それでお酒とか飲んだらチューハイ500ミリ一本でわりと酔っちゃってどうしたのどうしたの俺と焦るのだけれども、CLUB QUEで100sの人とか廻すとかいう情報入手したから踊りに行こうとなる。だって欲求不満だもの。友だちはずっと嫌な予感するのだよなあと言っていて、まあこの人はどうしてこう場の空気を盛り下げるのかしらと僕の空気も盛り下がったじゃないと説教する。それでQUEに入ったら案の定、というか衝撃的なことが中で起こっていてそれが女の子しかいなかったわけでから一回外出てお酒入れてタマムラに泣きつく。朝霧にいた彼らは僕のことはアウトオブ眼中。ファック。静岡大震災起きろと念じる。
わりと酔って思考能力が低下した僕らの結論と言えば、「待てよ。見方を変えてみれば、女の子しかいないというこの事態は…楽園(ハーレム)じゃん」と画期的な結論を導く。そして再度リベンジしてみるとUKロックとかかかってる。そこでDJが代わりエレキコミックやついいちろうが回しはじめて、わ有名人とテンション上がるのだろうけれども次第に様相は変化していく。暗雲立ちこめる。その兆候というかはじまりは、やついが『残酷な天使のテーゼ』をかけて、ええ、とか苦笑いして隣に座ってたお姉様に「ちょっとこれはねえ」とかアハハ、オホホと談笑してると次が大塚愛の『さくらんぼ』とかで悪寒が走る。そんでパフュームの『PolyRhythm』とかYUKIちゃんの『メランコリニスタ』とかかかるのはわりとテンション上がるのだけれども、YUIの『CHE.R.RY』とか、あなたここはクラブですよねと友だちと顔を見合わせる。大体『CHE.R.RY』のピリオドは何だ。でも「こーいしちゃったんだたぶん」と振り付きで踊る。あー楽しい。結局ハイスタみたいな中学用インディーをやついさんがかけはじめたとこで僕らは「やつい死ね」と暴言を吐いてクラブを一旦出て再度作戦会議@王将。またお酒飲んで最後のリベンジを誓う。僕らは「楽園、ハーレム、選びたい放題」と自分たちに言い聞かせるのだ。
そんでクラブの入口らへんにいた女性に「いま中どんな感じですかねー?」と聞くと、「あー今ふつうに洋楽とかかかってるからみんなテンション落ちてますよ」とか言うのであははと笑って、さっきは異常でしたよね、と同意して「どんなの聞くんですかー?」とか聞かれるからいつも通りキンクスとかトーキングヘッズとかソニックユースですねえとか言うとへえ、じゃあ今日は流れないですねとかで苦笑する。あなたはと聞くと、いやあこれ言うとモテないからとかはにかむ。テレビジョンとかピンクフロイドとか恥ずかしそうに言うので、ああそれはモテないですねとか話す。それで年齢の話になって、聞くとあらまあと驚く年齢言われて見えないですよーとか。
でDJがまた変わって、100sの小野さんとかいう人になって、最初はマトモだったんだけどわりとだんだん壊れ始めてハルヒとかの曲ばっかかけ始めて、フロアもドン引きで3人くらいしか踊ってないし、小野さんを見るとハッパ決めてるような宇宙旅行してるみたいな動きしてて、間違いなくあいつ決めてるじゃんあなた自分だけ楽しんで!と友だちと憤る。わりと最後なんてらき☆すたの『もってけ!セーラーふく』のクラブミックスみたいなのを15分くらいかけて、僕の方はと言えば限界が訪れて吐きそうになる。ああ100sとか中村一義の暗い音楽はこういう暗い青春を送ってる人が作ってるからなのね、と妙に納得する。もうナカカズとか二度と聞かないだろうな。大体ほとんど曲分かっちゃう僕も凄いというかわりと残念だと思うのだけれど。ちなみに友だちはほんとに死にそうになってた。嫌な予感当たったーとずっと言ってる。この時点で僕らを支えているのはただ下心だけだった。
ラリってるキメキメ野郎がDJ変わったあたりで友だちが攻めに繰り出す。かわいいと思ってた子に声かける。で僕はふたりが話してるところを横目で見てたのだけれども、客観的に見ても女の子は僕の友だちに好意というか恋してて、わわ、これはと楽しくなる。ただ外人に邪魔されたり、彼女の友だちの子がわりと残念でそれを引き受けるのは…とか諸事情が色々あって、クラブ終わって、外で煙草吸いながら作戦会議する。
そこに彼女たちがやってくる。彼女たちは僕らを見ると一気にはしゃぎだし、あからさまという言葉でも足りない程あからさまに僕らの目の前で2,3分こそこそ話とかしてる。さあどうする、どうなる。で結局僕の友だちは声かけずに彼女たちは残念そうに背を向ける。そこで友だちが発した言葉は「じゃあね」とかで、わわと驚いて、あなたあの子は君に恋してるんだよ、それなのに声もかけずにシカトして最後に「じゃあね」って女心がどんだけわかってないのと説教する。電話番号とか聞いてあげなさいよと怒ると彼の言い訳は「あー今すぐにヤることしか考えてなかったわ」逆に男らしいというか気持ちよかったのでがるぼるは大いに頷く。そんで例の年齢に驚いたあの方がどっちを狙っていたかとかいう、「いやあの人俺の手握ったもん」「俺なんて頭撫でられたもんね」とかお互い童貞みたいな言い争いでこんな僕らの童貞。をプロデュースしてほしい心から。
だからその日は友だちの家泊まって、自分のiPodに入ってる曲に飽きたので彼のiTunesをコピーさせてもらう。次の日そかべさんの気に入ってる茄子おやじでランチカレー。マジックスパイスは30分待ちとかで諦める。そんで渋谷出て青山真治の『サッドヴァケイション』を見る。
これがもうわりとありえない映画で、面白いというか面白すぎて、あああああああ、というそういう感情が常にで涙が流れる1秒前みたいな状態がずーっと維持される。ケンジが安男さんのあれを見てからの30分くらいを除いて、わりと悲惨な出来事ばかり怒るのだけれどその裏側には幸福感というかそんなのが存在していて、だから僕が涙を流したとしたらそれは嬉し泣きであるのだこの映画は何て不思議だ。安男さんのあれが来てから30分間くらいの間に泣いてしまったとしたらそれは悲しい涙になるのだけれども、兄と弟の殴り合いというか活劇はほんとに素晴らしくてデジャヴ!と叫んだのだけれども、僕はそこでは泣かなくて良くって、だから悲しい涙を流さずに済んだ。そしてまた映画は幸福感に包まれる。きっとこの幸福感というのは最近よく考える「帰るべき場所」ということについてのフィルムだからこれほどまで幸福なわけだ、どんな悲惨なシーンでも。だからシゲちゃんが「梢がおりたいとこにおればいいっちゃよ」というとこで僕は超号泣し涙でスクリーンが見えねえよちくしょうというか幸せすぎ!となって、あとお父さんが板谷由香にはじめて会ったときのやりとり(お父さんが石田えり殴る前までね)とかでまためちゃくちゃ泣く。映画が終わり、帰り道。まさか、と思って新たに生まれ変わったiPodをチェックすると、そこにJohnny Thundersの名前があってテンションあがる!も『Sad Vacation』は無くて萎えたからアルバート・アイラー聞きながら帰路につく。