such a beautiful girl like you

「高一のとき男の子3人とドライブに行って、それが親にばれて殴られてこの売女が!と罵られたものだから、家を飛び出したものの、お金がなくてAVのスカウトにのったんだよね。」
さいきんの僕は生活に大きな変化があったものだから、前よりも電車に乗る機会は多くなったのだけれど、その夜は横浜に台湾でずっと一緒だった友だちが来るというので横浜行きの電車に乗っていて、いつ乗ってもこの電車はガラガラだからけっこう声は響くので僕も周りの人に迷惑をかけぬようipodの音量を良い具合に調整してRilo Kileyの超泣ける新譜を聞いていた。こんな話が聞こえてきたのはそんな時のことだ。ちょうどこう背面の席の方からこんなカミングアウトが聞こえてきて、僕はいよいよipodの音量をゼロにして話を聞くことに集中する。彼女はAVの出演のこと、彼氏にそれがばれて捨てられたこと、友だちだと思っていた男にレイプされたことなど僕の人生においては想像を絶することを平気で言ってのけ、僕なんかは小心者だからちょちょちょっと声が大きいんじゃないのなんて焦ったりする程度でドキドキしてたら、「それで飯島愛は、」と彼女は続けたので、ああ、と安心から声が漏れてしまう。飯島愛で抜くのに今後は背徳感が付きまとうだろう。
その話を台湾のハッピーファミリーで毎日一緒に遊んでたそーくんに話したら大笑いしてたのだけれども、僕たちはそれでも戦争とかレイプとかそういったものに、わりとほかの日本人よりは近い場所にいるよねって話をする。きのう友だちにベネズエラであったCarl Coxとかいうおじさんのイベントでの銃撃の現場みたいな映像を見せてもらったというか見せられたのだけれども、日本の感覚からすればクラブに対する僕のあれは「ここにいる人の誰もが酒と異性と音楽のことしか考えてない超純粋な空間」だから楽しいのであって、日本のクラブで銃を撃とうと考えるなんてありえないだろうし、ほんとにやっちゃいけない行為だよねと友だちと話していてほんとにそうなのだ!
けれどもベネズエラでは実際にそうゆうことが起こってしまったわけだし、戦争といえば僕が旅をしていた愛すべき国レバノンでお世話になったタラルズホテルは例の戦争で空爆されてもう今はという話を聞いたし、レイプなんてものも、旅で会ったわりかし少なくない数の日本人女性から、タクシー乗ったら山の中連れてかれてここに置いてかれるか俺のあれを入れさせるかどっちがいい、なんて言われて命よりはということでそうゆう行為を強要されたという話を聞いているし、これはどう考えたってレイプなのだ。そのうえアフリカとか南米ではそういったことが多いせいで「日本人は簡単にやらせる」とかいう噂が立っているらしく余計にそういう被害が増えているということらしい。だからそーくんと話したときも、彼はサファリというエジプトの超有名日本人宿に僕と時期をずらして泊っていたのだけれども、そこの人が2人ほどケミカルのせいで精神病院でコード首に巻いて自殺したとかいう話を聞いて、わりとお世話になった人の名前だったので僕は何も言うことができなくなった。日本人バックパッカーはなぜだかわからんけど、80パーとか90パーとかかなりの確率でマリワナをやるわけだし、それはいいのだけれども、ケミカルに手を出す人も多いし結構見てるので僕はそれはやめた方がいいすよ、と笑っていうしかできない。自分の全く知らない人は勝手にすればいいのだけれど、もうドラッグで知人が死ぬのは見たくない知りたくない。彼らが死ぬのは決してドラッグで死ぬのではなく多くは自殺だし、その理由は体が蝕まれてつらいから死を選ぶのではなく、周りの人に、友だちとか恋人とか、そうゆう人たちにこれ以上迷惑をかけるのがつらい、という理由だから、とタイで会ったジャックさんは言っていた。自分ひとりで生きてるわけじゃないって自認の強い日本人には向いてないよね、とかそーくんとそーゆう話をしてたらくらーい雰囲気になってしまったので恋の話でもした。彼は頭が悪いので深夜2時に公園のブランコをぶんぶん漕ぎがらエリちゃーんなんて大きな声で叫んでいて僕は笑った。
次の日僕はバイトなので3時くらいには寝て、朝そーくん送り届けたらバイト行っていつもどおり楽しくて、お昼は友だちと銀座デリーでカシミールカレー食べてたらからいからいとなって大いに笑い、もしかしたらこういった友だちだと思っていたような人のことが好きになるのかもしれないなあと思った。だから僕は冗談めかしてサッチアビューティフルガールライクユーと。彼女は大笑いしていた。