最後に最高の

ペドロ・コスタとかより僕は引越しを優先するので、最近は引越しのことばっかり考えなければならなくて、ようやくいまさっきひととおり部屋が片付いたようでこうして、えーと、はやどのくらいぶりだろうか、とにかくこうして日記を書いてみる。飲んだり遊んだり片づけしたり落ち着いたりなどの生活は続いており、と現在形で言えるのがもうあと何日かといったところでまたけっこう涙目にもなるものだし、さっき友だちにベッドのシーツのことで電話したらその友だち普段はおちゃらけてて感受性なんてないように見えるような困ったちゃんなんだけど「俺泣きそうだよいま」とか言うのであいにくもらい泣きなどした。
昨日卒業をした。卒業式とかわりとパッション高くなく挑んだのだけど、思った以上に偶然だとか約束したりだとかで多くの友だちと会って、久々の人もいて、わ、あ、というのはいちいち儀礼的すぎて嫌だなとふだんなら思うのだろうけどその日だけは別で儀礼的で嫌だなどころかいちいち泣きそうになるので困った。ほんとに困った。祝賀会みたいなやつで肩組みながら都の西北歌ったりなぞして大学生活4年間でも2,3度しかそんなことした記憶ないのだけど、わりと自然にできたので驚いた。ただ歌詞はわかんなかったので友だち歌ってるのをよく聞いてラの段の音で歌った。さっきから目に付く度にデジカメでみんなと学位記かかげて撮った写真なんぞを見直したりしている。
しかし困ったことにここは真面目な映画ブログなので、映画の話でもしようと思う。3月に見たのでは『接吻』と『人のセックスを笑うな』とホウシャオシェンの新作と『Actrees』というマチューとルイガレルとか出てるやつが良かったし他はそうでもなかった。と書いてみて思った以上に今の気分は映画のことなんて書く気全く起きないのでペドロさんだかベッケルだかリヴェットだか忘れたけどそれ行ってる時間あったらみんなと飲みたいし飲んでる時間あったら引っ越しの準備がしたかったこの頃。ところで引っ越し先は京橋フィルムセンターから徒歩5分なので映画見たくなったらフィルムセンターに行こうと思う。がどうなんだろうか実際。平日は8時〜22時くらいまでは少なくとも仕事あるだろうし土曜日休めるかとか謎だし日曜日はピクニックしたいし土曜日休めてもその休みでフィルムセンター行きたいとか思うだろうか思わない。まあわかってて選んだのだから覚悟だよね、ともうほんと僕の人生のテーマは「覚悟」これ一本で行こうと最近決めて今日も前バイトしてた先に挨拶行ってそのまま友だちとうどん食べてビール飲んでスタバで珈琲飲みながら覚悟覚悟言い放った。映画の話おわり。
覚悟と言えば、卒業式の日の朝に覚悟したことがあって、ほんと今日これだけは絶対やってやると覚悟したことがあった。僕はかつて恋をしたのだけど、その恋はわりと僕の人生でも大事な出来事であるそれで、それまで仲良かった女の子への思いがいつしか恋になっていったという類のあれなんだけど、その子に告ってから早いものでもう1年半とかたつのか!と計算していま驚いた。あれは大学3年の冬はいる前12月品川のおしゃれバーみたいなとこで告白したのだけど、まあそういうディティールはよくて、とにかくフラれて、僕としてはふられても大好きだった人なのでいままで通り友だちでいたかったのだけどむこうはどうやら気まずく思ったようでわりと距離とられたというかそんな態度で接された。会う機会も所属する場が同じという理由からけっこう多いし、これは結構ツラかった。とにかく卒業式で、このままってのは嫌で、ちゃんと話そう、それだけ卒業式にやろうと覚悟した。
彼女と式のあと会う予定があったのだけどその前に偶然会う。ちょっとむこうは戸惑った表情を一瞬。だけどもう躊躇しない。これは覚悟だ。僕は思っていること、そしてありがとう、と伝える。これからも友だちでいたい、と握手する。彼女は精一杯の、僕が大好きだった笑顔で、うん、と。ついその笑顔に、「好きだった」と言ってしまう。あはは酔ってるのー?と彼女は笑うし、僕はこういう言葉はひとりの人以外には言わないと決めたので酔っているせいにした。実際友だちと乾杯結構したので酔っていたのだけど。
ところで友だちやってるバンドでそのバンド自体は高校生青春パンク!みたいな超ダサイ感じなのだけどひとつめちゃくちゃ大好きな曲があって、彼は歌う。
「最後に最高の思い出を。僕だけかこんなに悲しいのは」と。
僕だけこんなに悲しいのは。だとすれば耐えられないし。いまの僕はとても、とてつもなく悲しい。一緒に日々を過ごしたみんながそう思っていないのならば。